比べ読み書評1 「デイサービスのかたすみで」と「利用者が元気になるデイサービス」
①最初に読んで欲しい本 ②参考にすると更に理解を深める本
利用者側から見たサービスの在り方 供給側から見たサービスの在り方
① 「デイサービスのかたすみで 」
著者:内野 晃 2022/3 発行:ゆいぽーと
近々、家族や僕たちが利用するデイサービス!
15年の経験者に聞いてみよう!
誰のための、どういう本? 本書をまず目次から見て読み始めると、デイサービスの「ガイド」のような気がするだろう。これからデイサービスを受ける高齢者や家族は期待して読み進むだろう。
別の見方からすると「体験ルポ」とも読める横浜市(日本)の高齢者サービスの実態が現れてくる。
短いこの本をあっという間に読み終えると、
「日本の福祉制度が高齢者の個性に合わせたサービスになっていない」
という批判も含んだ平明な「高齢者エッセイ」となってくるような不思議な著作である。
- 著者の立場 ―主に1章【はじめてのデイサービス】
高齢者介護サービスは三つに大別すると、訪問、通所、入所という形態があり、著者は15年間、前二者の訪問、通所サービスのみ利用して一人でマンション生活をしてきた。かなりしっかりした人でも苦難な生活である。
脳から来る身体障害で、家の内外で手すりや車椅子の助けで生活をしながら、家事の他、読書やPC作業、断続的だが俳句や楽器演奏までやる。
「仲間のコミュニケーション」や「温水プール」を求めるのはもっともと思わせる。
- テーマは「老人の個性や人間性尊重」 ―主に2章【普段のデイサービス】
読者は通所サービスのことだけ!として受け取ってもよいが、特別養護施設の他、(ケア付き、介護付き)高齢者住宅などの入所サービス利用者にも通じるガイド或いは問題指摘にもなっている。大げさな言い様になるが、日本の高齢者介護は「もっと楽しく過ごすサービスにならないか?」という著者の訴えかもしれない。
- 高齢者はもっと高望みしてよい? ―主に3章【あすのデイサービス】
側近の調査でも「若い世代に夢の無い日本」が浮かび上がっているが、高齢者施策は壮年者や若者の将来問題でもある。
本書にも「世界の介護制度」の項がある。
サイトでも北欧等の注目すべき事例が紹介されている。
切羽詰まった高齢者の不安の行き先として、すぐには望むべくはないとしても、著者のような意見がもっと高まれば、近い将来、高齢者サービスが更に改善する方策が実現されるだろう。
この本はエッセイとして読むと、我々年寄りに向けた応援歌にもなる。
② 「利用者が元気になるデイサービス」 著者:香丸俊行 2021/8 合同フォレスト(㈱)
サービス供給者側から見た現状と新しいサービスの在り方
背景
- デイサービスとは、高齢者(全国3600万人)介護サービス利用者(500万人)のうち、通所サービス(ショートステイ等含め200数十万)のことです。介護施設(老人ホーム等90万)、訪問サービス(残り)と比べ最大の利用者がいます。(評者まとめ/厚労相2020)
- 本書の内容
- 目的は ・自立支援、・社会参加、・家族負担(本人)支援。
- 内容は送迎、健康チェック、食事、入浴等介護、趣味レクリエーション、訓練・・ですから、巾広い年齢層が利用出来て、多くの老人が利用したいはずです。
- 本書は現状の問題として、子ども扱い、画一的(定番メニュー)、手抜き、手伝いすぎ・・・を挙げています。
- 著者は施設経営者ですから、多様なサービス、回復優先、尊敬、自主性尊重・・・を重視し、 実践している経営方針と成功例を載せていますが、実際僕らが近くでこのようなデイサービスに通えるのでしょうか?が問題です。
●目次
1. 1億総介護時代の到来
2. デイサービスの概要
3. 介護施設に入ったら具合が悪くなった !?
4. よいデイサービスはキャストで決まる !
5. ケアの新ルールは「手伝わない」 {諦めない」 「無理しない」
6. ゲストが参加したくなるレクリエーションとは?
8. 良いデイサービスのキャストは仕事に誇りを持っている
9. 大切な人を預ける前にチェックしておきたいこと
10. ケアの新3Kは「感謝」「感動」「感激」だった!
●最後に: デイサービス選択のチェックポイントは参考にできます。
利用目的絞る、施設ケア方針、自立支援、時間延長・早朝・宿泊対応環境、入浴・食事、レクリエーションの多様性、ちゃん呼びしていないか(子ども扱い・・・です。